「薬指の標本」を読んだ
密やかな結晶を読んだときに気力がうんぬんなので間を空けて読もうとか言ってた矢先。気付いたらサンプルからすっと購入まで至っていました、どうも私です。
透明で静かなのによくよく見ると不穏と不安が底に貯まってて、それに足を取られたらおしまい!って感じ。めっちゃきれいな沼…
いやぁああ面白い、表題の話ってよく考えると不気味なのに気付いたら魅せられてしまった。
事故で薬指の先が欠けてしまった女性と、標本作りを生業としている男との話なんですけど。
プレゼントした靴が足を侵食していくようだったり、浴室で抱き合ってたり、活版がばらばらになったときに手伝おうとせず一晩中静観していたり。ところどころ見せる危うい男の雰囲気をまとう弟子丸。こういう男に女はなんだか惹かれてしまうんだわ、そこまで含めて生々しいよね。
薬指をそっと咥えるところあまりにもえっちすぎて頭抱えた。服を脱がすシーンよりどきどきしてしまったよ……
主人公はそのまま標本にされてしまったんだろうなぁ……多くは語られないしおおよそ妄想の範囲内でしかないんだけど。こういった隙間を作るのがとても上手な作者だなと思います。
読者の数だけ解釈はあると思って創作してたりするので…とてもいいな・・・理想の形って感じ
2作目の「六角形の小部屋」もなかなか不思議な話だった、結局解決というかオチもなんだったのか。というのはあまり考えちゃいけないというか。ふわーっと着地して終わった。みたいな感じです。
実際語り小部屋があったら自分なら何を語るだろう、と思ったりした。