「昨日星を探した言い訳」を読んだ
大好きな河野先生の書き下ろし長編
しかも恋愛小説と来た、私は恋愛小説が正直苦手である。
カドブンで新連載が決まった時に「先生の新しい話がリアルタイムで読めるなんて最高か」と思っていたのですが。どうにも出だしの雰囲気があわずに頓挫する始末。
完結して文庫本の書影が発表されたときにめちゃくちゃいい表紙!と感動。電子書籍限定の読みきりにも惹かれ紙、電子と2つの媒体で購入。
(というか他の作品も媒体2つで買ってるし、新装版が出たら又もう一度買ってたりするぐらいにはお気に入りの作者です。本を買って応援するんだ私は)
で、積みに積んでこのタイミングになりました。
しかも直前まで階段島を読み直すか、別の積本を読むかで若干迷ってたという
無意識にしている差別、倫理の押し付けを感じてうんうんと唸ってしまった。
やもりんと呼ばれていた時の話でようやく坂口が抱いた怒りを理解してなんてこったと頭を抱えた。
橋本先生との対話で坂口が言いたかったこと、なんとなくぼんやりしてただけにちょっと頭殴られた感じした。行間……
「緑の眼を黒く塗りつぶされていた時に抱いた感情を勝手に推測して苦しむ」ことが倫理の押し付けと言うか。そういうことなんだろうなと。私はそう感じた。
今までの主人公たちのようにどことなく口少ないのは同じだけど誰よりも人間臭いなと感じて好感度は高い。
トランシーバーで二人だけの「イルカの唄」を作り上げていくシーンほんと好きだ、なんなら演劇のシーンも読みたかったな!!
茅森の憧れを汚さないためについた嘘、というか。あの二人が仲違いするとこ読んでてはちゃめちゃにしんどかった。
その分25歳の再会で「8年待たせたんだから30分ぐらいいいでしょ」と100個嫌いなところあげるとこほんとなぁああニヤニヤした。凄い良いぞあれは。うわぁあって転がってしまった。デレが強い。
後半にかけてのまとまり方が凄いので最初なんだろうな…?と思いながら読んでも読みきってほしい。そんな本です。私は知らんうちに世界観に引き込まれてたけど。
この作品で改めて先生の凄さを作品で感じたのでこれからも応援します。